H7N9鳥インフルエンザ  information
新潟大学国際保健学教室では、H7N9の様々な情報のrumor surveillanceを行っております。
ALL JAPANで備える」の信条の下、当ブログを通じて皆様に情報がご提供できればと思います

report.2 パンデミックへの社会的不安と風評

H7N9鳥インフルエンザの感染源が特定されないまま、約1ヵ月が過ぎました。

上海、浙江、江蘇、安徽、山東、北京、河南とかなりの範囲に感染の拡大が見られます。

早期にオセルタミビルやペラミビルのようなノイラミダーゼ阻害薬(NA阻害薬)を投与すれば重症化へのリスクを減少することができるようですが、やはり現地での社会的不安は消せません。

 

4月23日の広州日報で次のような記事を見つけました。

 

ケンタッキーの鶏養殖場で鳥インフルエンザが発見されたとのデマが流れる

鳥インフルエンザによって打撃を受けている鶏養殖業だが、ネットを通じて飲食店にまでその影響が波及している。ネットの中で、ケンタッキーの鶏養殖場でH7N9に感染したヒトが発見されたという内容が出回った。これに対し、ケンタッキーは昨日22日に声明を出し、“虚偽の情報である”と発表した。

「この情報は迅速に拡散し、多くの消費者に猜疑心を持たせてしまった。ケンタッキーがこの情報を見つけたとき、すぐに25件の鶏肉提供業者に連絡を取った。」 昨日ケンタッキーは本記者に対してこう声明を発表した。「(鶏の間で)疫病が蔓延しているということも、H7N9に感染したヒトが出たということも断じて無い。鶏肉を提供している養殖場でそのような状況は全く無い。」

 

ケンタッキーは関係部署に通報し、訴える姿勢を見せている。

 

4月10日にケンタッキーが所属するYum! Brandsグループがニューヨーク証券取引所にこの通報をしたが、この1週間前に中国の鳥インフルエンザの情報が、正確に調理された鶏肉は安全だと消費者に教育を続けてきた企業であるケンタッキーの中国での販売において負の影響を与えたということに、記者は注目をしたい。

 

 

新型のウィルスが感染を拡げ続けている状態が続くと、このような風評被害も後を絶ちません。

また、感染者の家族や、その近所に住んでいる方たちに対しても社会が厳しく当たるという現象も出てきてしまいます。

 

ウィルス感染症のパンデミックに対する恐怖が、ささいなデマや噂を契機に刺激され、大きな社会的不安を惹起してしまうのでしょう。

 

こういった社会的現象までも考慮した上で、パンデミックやアウトブレイクに備えた対策案を作り出すのも公衆衛生の重要な使命といえるでしょう。