H7N9鳥インフルエンザ  information
新潟大学国際保健学教室では、H7N9の様々な情報のrumor surveillanceを行っております。
ALL JAPANで備える」の信条の下、当ブログを通じて皆様に情報がご提供できればと思います

report.7  5月2日報道のヒト感染性H7N9鳥インフルエンザの死亡症例と退院症例

≪≪≪退院症例≫≫≫

4月18日に報道された河南省の男性が4月28日に退院したとの報道がありました。

内容は以下の通りです。

 

患者:王(男) 38歳 家禽の屠殺業 河南省管城区南曹

来歴:具体的な発症日は不明。河南省伝染病病院(鄭州し第六人民病院)の重症医学科

   (ICU)主任、※主任医師の楊躍傑(杨跃杰)から、4月23日、26日にH7N9鳥インフ

   ルエンザウィルス核酸結果が陰性になったと報告がある。4月27日に、全身検査

   をし、「各項目の生理指標は正常に回復しており、肺の感染も完全に吸収され

   好転している」と省級専門家チームが確定診断したので退院した。

   当日午後4時、看護師に付き添われて河南省伝染病病院のICUから出る。

   翌日28日に退院。

 

王さんは「魏先生、張先生の懸命な治療と、看護師さんたちの熱心な看護に感謝します。みんなは私に第二の命をくれました。これは、本当に心からの言葉です。」とマスク越しの、かすれた声でインタビューに答えたそうです。

 

入院中は、病院が提供してくれたラジオから聞こえてくる外の情報を聞いていたそうです。彼は自分が回復したことで、彼と同じように入院している他のH7N9患者に元気を与えたいといっていました。

「気持ちをしっかり持って、怖がらずにいれば、必ず(辛い時間は)過ぎ去っていくから。」

 

楊躍傑医師は、今後、病院側は国家衛生計画生育委員会の要求に従って、患者と連絡を保ち、定期的に再検査を行う予定であると述べています。

 

河南省の他の患者さんの現在の状況です。現在、河南省では4例が確定診断しており、2名が回復、2名が省級専門家チームの下で救命治療を受けています。

≪退院≫

4月14日報道:張(男) 65歳 農民 河南省周口市

         4月8日に発病。すでに回復し退院している。

≪治療中≫

1.4月14日報道:馬(男) 34歳 調理師

         4月6日に発病。9日に病状が悪化しており、ICUで治療を受けてい

        た。25日に危篤状態から離脱し、27日からはICUから普通病棟へ変わ

        っている。肝・腎・肺機能は回復中で、H7N9鳥インフルエンザウィ

        ルス核酸検査の結果も陰性である。次の検査で陰性が出れば退院で

        きる。

 

2.4月25日報道:崔(男) 56歳 退職者

        4月17日に発病。鄭州市の2例目の患者で未だにICUで治療を受けてい

        る。PaO2が改善したこと以外、そのほかの状態が改善しておらず、

        危篤状態にある。4月27日、国家衛生計画生育委員会の専門チームが

        ※会診にあたる。

                                          大河ネット    2013-5-2  】

 

 ※主任医師:『主任医師』というのは中国における医師の階級では高級に分類される

       医師のことです。日本で当てはめると、医学部の教授に該当します。

 

 

※会診:中国の病院で取っているスタイルで、異なる専門分野の医師が1つの症例につ

    いて診察・診断を行うことを言います。

    同じ科であっても専門が異なる場合、例えば消化器内科であれば、胃の専門

    の医師と十二指腸の専門の医師というように組み合わせたり、神経内科の医

    師と内分泌科の医師が糖尿病の患者の診断・治療で協力するといったもので

    す。主に難治性の疾病や、診断の難しい症例に対して行われます。

 

≪≪≪死亡症例≫≫≫

湖南省で報告されていた症例で1例死亡が出ました。

 

患者:4月27日報道 焦(男) 54歳 豚の屠殺・販売  江西省銅鼓県

来歴

豚の屠殺・販売をしている男性。周囲では、生きた家禽類の交易が比較的多かった。

病状が危篤である主な原因は見つからず対処療法を行っていたが、発病から10日後に

確定診断され、その後やっとH7N9感染に対する治療を施された。

 

4月15日に発熱・咽痛が出現。

   ↓

4月17日~19日にかけて、現地の診療所と江西省銅鼓県人民病院へ外来へ行き、「肺炎」と診断される。

   ↓

4月22日午前、湖南省浏阳市人民病院に転院し、発熱の原因を調べるために入院。

   ↓

4月25日、湖南省浏阳市人民病院が「原因不明の肺炎の重症例」として疾病コントロールセンターへ報告。

   ↓

4月26日、湖南省疾病コントロールセンターの実験室検査でH7N9インフルエンザウィルス核酸陽性と結果が出る。

   ↓

4月27日、中国疾病予防コントロールセンターで実験室検査を再検査したところ、H7N9インフルエンザウィルス核酸陽性と結果が出る。

患者の病状は重く、多臓器不全が出現した。

   ↓

5月1日、専門家が救命救急に当たっていたが、病状が危篤状態へと移行し、死亡した。

                                 潇湘朝刊   2013-5-2     3:19】

 

 昨日までは、死亡者累計が24例となっておりましたが、5月2日の夕方から訂正され、

累計数が昨日の死亡例を含めて26例と報道されております。

 

【補足情報】

4月27日報道 湖南省邵陽市双清区

患者:管(女) 64歳 

来歴

感染前に5羽の生きた鶏を家禽交易市場で購入し飼育していた。これらの鶏は江蘇省から輸送されたものであった。

4月14日に、発熱症状が出て、体温が38℃~39℃まで上昇。

  ↓

4月18日に個人診療所へ外来へ行ったが、人民病院を紹介される。

  ↓

4月19日、邵陽市第一人民病院へ行き、「右肺肺炎、喀血」のため入院。

  ↓

4月25日午前、邵陽市疾病コントロールセンターよりヒト感染性H7N9鳥インフルエンザウィルス核酸陽性との報告あり。

  ↓

4月27日、中国疾病コントロールセンターからH7N9ウィルス核酸陽性との報告あり。

現在、病状が重く、治療中である。

 

5月1日に同省邵陽市で男性69歳の感染症例が報告されていますが、この2例の患者同士での接触は無いということです。