ヒト感染性H7N9鳥インフルエンザ 134症例目の河北省の女性が死亡
北京市衛生局による微博(中国版ツイッター)の『@首都健康』で、25日間の救命措置のかいなく、河北から北京へ転院してきたヒト感染性H7N9鳥インフルエンザの重症患者の女性が死亡したニュースが流れた。
一度は呼吸系統については機能の好転があったものの、最終的には感染の加重により、多臓器不全を起こして11日の夜22時頃に死亡した。
この患者は河北省では初めてのヒト感染性H7N9鳥インフルエンザ感染症例で、河北省は全国で11番目にヒト感染性H7N9鳥インフルエンザ症例が出た省となった。8月10日には、広東省で初めてのヒト感染性H7N9鳥インフルエンザ症例が出現し、12例目の省となっている。現在までに確定診断を受けた症例は135例、12省市の42の地域に分布しており、これに台湾も含まれている。
≪患者≫
・張 女性 61歳 河北省北廊坊市
7月10日 咳嗽・発熱(38℃)などの症状が出現したため、市販の薬を服用したが、寛解しなかった。
発熱が5日続き、咳嗽・呼吸困難が2日続いたため7月18日18時に北廊坊市から北京朝陽医院へ転院。入院後、病状は迅速に悪化し、院内の専門チーム、市級専門チームが診断し、7月20日にヒト感染性H7N9鳥インフルエンザと確定診断した。この時すでに重症であった。患者はARDS(急性呼吸窮迫症候群)と膿毒症、急性腎機能不全、DICなどを併発していた。
全力で治療に当たり、8月1日には一度、呼吸機能が好転したため、8月4日に呼吸器を外して自力呼吸を行うリハビリを開始。感染部分のコントロールはしっかりとされており、意識もはっきりしていて、飲食も可能であった。8月9日にはH7N9ウイルス核酸が陰性となり、抗ウイルス治療の効果が見られていた。
8月10日、患者に再度感染症の加重が出現し、11日には迅速に膿毒症へと発展し、感染中毒性ショックを起こし、多臓器不全で死亡した。
8月11日21:00、患者に心拍、血圧の低下がみれら、21:22には心拍数が0となり、自力呼吸停止、血圧0mmHgとなったため、心肺蘇生をおこなったが、効果は無く22:01には完全に死亡と判断された。
死亡診断は、「ヒト感染性H7N9鳥インフルエンザウイルス感染による肺炎(重症例)、急性呼吸窮迫症候群、急性腎機能不全、感染中毒性ショック」であった。
医学専門家によれば、この病例の病状発展と治療について考察すると、ヒト感染性H7N9鳥インフルエンザで重症症例を防ぐには、抗ウイルス治療はもちろんのことウイルス感染以外にも臓器の機能を正常に保てるように支持治療を怠らないということも大事であると指摘されている。
張さんと接触があったのは家族、中国石油管道局廊坊総合病院で同じ病室だった病人と医療関係者の30名であった。
特に密接に接触をしていた2名は末期癌により死亡しており、残りの28名は医学的観察措置を7日取った結果、自覚症状・発熱があるものはおらず、また咽頭スワブによる検体採取の後の検査もウイルス核酸陰性であった。