H7N9鳥インフルエンザ  information
新潟大学国際保健学教室では、H7N9の様々な情報のrumor surveillanceを行っております。
ALL JAPANで備える」の信条の下、当ブログを通じて皆様に情報がご提供できればと思います

抗インフルエンザ薬に対して耐性を持つH7N9ウイルスも高い感染力を維持

ネイチャーコミュニケーションズ電子版からヒト感染性鳥インフルエンザA/H7N9についての新しい発表がありました。

タイトルは「Influenza A(H7N9) virus gains neuraminidase inhibitor resistance without loss of in vivo virulence or transissibility」で、薬剤耐性を持っているが、高い感染力が維持されているH7N9ウイルス株について報告されています。【Nature communication

インフルエンザの治療にはオセルタミビルなどのノイラミニダーゼ阻害薬が使用されます。

インフルエンザウイルスは細胞に感染した後、細胞内で増殖しますが、増殖した後、細胞の外へ出ていきます。感染細胞から出ていくときには、作られたウイルスはまだ細胞につながれたままの状態です。そこで、ノイラミニダーゼという酵素を使って、感染細胞とウイルスがつながっている部分を切断します。これで、ウイルスが自由になり、新しく宿主となる細胞を探しに行けるわけです。

ノイラミニダーゼ阻害薬は、このノイラミニダーゼの働きを邪魔します。

ノイラミニダーゼの立体構造に薬の分子が入り込んで、うまく切断できないようにするわけですが、ノイラミニダーゼを作り出すための遺伝子に変異が生じて構造が変わってしまうと、薬がうまく効かなくなり耐性を獲得することになります。

しかし、ノイラミニダーゼの構造が変わってしまうことは、ウイルスにとっても好ましい状況ではありません。

本来のハサミの機能が落ちてしまうからです。

なので、通常薬剤耐性を獲得したウイルスは宿主となる感染細胞から効率よく出ていくことが出来ず、感染力も落ちてしまうわけです。

しかし、今回報告されたH7N9ウイルスは、薬剤耐性を持っていても感染力が落ちないということでした。

実際にこういった性質を持ったウイルスがどれだけ感染が報告されている地域に広がっているのかは、まだ分かっていません。

これまでに140名以上の確定診断症例の報告がありましたが、まだまだヒト感染性H7N9鳥インフルエンザについては不明な部分が多いです。

中国は2月の春節から4月まで生鳥市場(家禽市場)を閉鎖する予定らしいですが、今後の動向について継続して注目していきたいです。

 

北京市でのヒト感染性H7N9鳥インフルエンザの散発症例が出る可能性を排除できない

北京市疾病コントロールセンターは、現在までの北京市でのインフルエンザの活動度は低いレベルであると発表した。今後、人の移動によりインフルエンザウイルスが北京市に集中する可能性も考えられ、ヒト感染性H7N9鳥インフルエンザの散発症例も出現することも十分考えられるとした。

11月では、北京市では市内の一次救急で対応された421件のうちインフルエンザだったものが0.92%であった。また二次救急で対応された144件のうち、1.13%がインフルエンザ症例であった。いずれも季節性のインフルエンザであった。

 

今のところ、北京市でのインフルエンザの活動度は例年より低い水準を保っているが、冬季に入るとインフルエンザが流行する可能性があり、人の移動が激しくなる正月に入るとヒト感染性H7N9鳥インフルエンザウイルスが持ち込まれることも考えられる。

 

浙江省や香港で新しい症例が報告されており、北京市は警戒を強化している。

                  【2013.12.11 10:45  捜狐健康ネット

 

 

12月10日には中国国家衛生計画生育委員会の姚宏文が、ヒト感染性H7N9鳥インフルエンザウイルスに変異はみられず、散発した症例が報告されているのみであると発表した。主な感染経路は鳥-ヒト感染であり、今後も予防対策を強化継続するとしている。

                  【2013.12.11 8:46  新華社ネット