H7N9鳥インフルエンザ  information
新潟大学国際保健学教室では、H7N9の様々な情報のrumor surveillanceを行っております。
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ヒト感染性H7N9鳥インフルエンザウイルスのヒト感染についての論文

中国の科学者が『ヒト感染性H7N9鳥インフルエンザウイルスのレセプター結合の特性と構造の基礎(Structures and Receptor Binding of Hemagglutinins from Human-infecting H7N9 influenza virus )』というタイトルの論文を『Science』で発表しました。

以下それに関わる記事です。

 

2013年2月にアウトブレイクしたヒト感染性H7N9鳥インフルエンザは一種の新型リアソータントウイルスである。上海や安徽で最初に発見された。このウイルスは禽類には病原性が無いが、ヒトが感染すると重篤な呼吸器疾病を引き起こす。現在までで中国では134例が確定診断されており、北京・上海・江蘇・浙江など12か所の地域に分布しており、また45人が死亡している。高福(Gao Fu)が率いる中国科学院北京生命科学研究院、微生物研究所及び中国疾病予防コントロールセンターが連合し、早期に発見された2つの株、A/Anhui/1/2013とA/Shanghai/1/2013について調査し、ヒト感染性H7N9鳥インフルエンザのヒト感染へのメカニズムを探った。

 

安徽株は流行株であり、上海株は1例からのみ分離されていない。この2つのウイルス株はそれぞれ独特の遺伝子配列を持っている。研究員がELISAと表面プラズモン共鳴により、ウイルスレベルと蛋白質レベルで安徽株と上海株の受容体結合の特性を調べた結果、安徽株は禽類由来の受容体に結合するだけでなく、ヒト由来の受容体にも結合することができ、上海株は禽類由来の受容体に結合しやすい傾向にあることが分かった。安徽株はヒト由来の受容体に結合しやすいことから、ヒトの間で流行する可能性が十分にあることになる。

 

同時に、H5N1と異なるのは、Q226Lアミノ酸の突然変異が、H7N9ウイルスの表面にあるヘマグルチニンにヒト由来の受容体と結合しやすくさせる唯一のポイントではなく、それ以外のアミノ酸配列も重要な鍵となっていることも判明した。蛋白質X線結晶解析法により、2つのウイルス株のヘマグルチニン及びその突然変異体と受容体類似物の複合体を解析し、構造基礎の変化に受容体結合特性が生じていることを明らかにしている。

アウトブレイクしているヒト感染性H7N9鳥インフルエンザウイルスはヒト-ヒト感染能力は有しているかどうかについて科学者が研究しているが、今回の研究論文に関わった研究員たちはH7N9ウイルスは禽類の受容体と結合する能力が高く、ヒトの呼吸道上には禽類由来受容体が多く存在しており、粘液がウイルスの拡散を束縛してしまうため、H7N9ウイルスの有効な伝播能力を失わせてしまうだろうと予測している。

H7N9ウイルスの変異にはモニタリングが必要で、突然変異を少しでも起こせば、禽類由来の受容体との結合能力を失っているが、ヒト由来受容体との結合を有したままのものが発生し、パンデミックになる恐れがあるともしている。

                     【2013-9-6  北京生命科学院

 

 

今回の論文は購読していないとダウンロードできませんが、読んでみると非常に興味深い内容であると思います。

ヒトへの感染メカニズムを解明していますので、今後どのようなモニタリングをしていけばいいのかの指標になってくるのではないでしょうか。

9月に入ってからJournal of Virological MethodsJournal of clinical microbiologyでも論文が出ていました。

 

 

 

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