ヒト感染性H7N9鳥インフルエンザ 133例目、134例目について
現在まででヒト感染性H7N9鳥インフルエンザの感染者数累計は134例、うち死亡者累計43例となっています。
133例目までは5月までの発症で、134例目が7月に入ってからの発症でした。
6月にはヒト感染性H7N9鳥インフルエンザの感染症例は報告されていません。
≪≪133例目≫≫
患者:15歳 男児
場所:江蘇省
4月25日:発病 → 4月26日:入院 → 5月2日: 退院
分子診断ツール(迅速診断キット)による検測結果でA/H3N2シーズンとH7N9鳥インフ
ルエンザウイルス陽性と出た。確定診断を行うために、江蘇省衛生庁では7月1日に
省級と国家級の専門家を招聘し、実験室検査を行った結果確定診断された。
←Vereduslaboratoriesの迅速診断キット
≪≪134例目≫≫
患者:61歳 女性
場所:河北省廊坊市 (受診・報告は北京市)
7月10日 咳嗽・発熱(38℃)などの臨床症状が出現。
市販の薬を服用したが寛解せず。
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7月13日 河北省廊坊市の地域診療所で受診し、外来で点滴治療を受ける。
(患者は、それまで廊坊市を離れたことが無い)
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7月14日 発熱症状(40℃)に、咳嗽、喀痰(黄色)、排痰困難、悪寒を伴い、中国石油
管道局廊坊市総合病院で受診し、重症肺炎と診断される。
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7月18日 北京の朝陽病院へ転院し、肺炎、ARDSと診断される。
18:30に状態が悪化し、呼吸困難に陥ったためICUへ入り、呼吸器による
酸素投与治療を行う。
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7月19日 朝陽病院が患者に対してH7N9鳥インフルエンザウイルス検査をしたとこ
ろ、結果が陽性となったため、検体をすぐに北京市のCDCへ送った。
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7月20日 患者の検体でH7N9鳥インフルエンザ核酸陽性となり確定診断される。
合併症:ウイルス性肺炎、ARDS、重い膿毒症、
急性腎損傷、びまん性血管内凝結
気管挿管、呼吸器補助、人工肺(ECMO)の使用、血液濾過などを行う。
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7月21日 患者が収容されているICU付近に厳重な警備体制がしかれる。
午後に河北廊坊市でH7N9緊急疫情会議が開かれ、市の衛生局員が「患者
は良く廊坊市麦洼総合農業交易市場へ行っており、そこからH7N9ウイル
スが検出された。またその来源が家禽交易市場の汚水中であり、家禽市場
からH7N9ウイルスが検出されたため、現在では厳格に疫学的防御措置を
取っている」と発表があった。
0時には、患者の咽頭スワブから採取できた検体と総合市場の家禽交易部
署の糞便及び汚水等の外環境の検体53件のうち、外環境検体の1件のみ
H7N9鳥インフルエンザが陽性であったが、残りは全て陰性であった。
26名の接触者には異常は発見されていない。
廊坊市政府は緊急会議で家禽交易市場の閉鎖を含む予防策を決定し、重症肺炎での入院症例のうち、原因不明のものは全て検体採取と検査を行い、市内の2級以上の病院では毎日9時前までに発熱がある患者の様子を報告することを決定した。
また、医療従事者への周知・教育を行い、より強固な感染予防策を取る予定である。
中国のインフルエンザ専門家たちは、気温が上昇しているにもかかわらず、今回の症例が出現したことについて疑問を抱いている。
【2013.7.22 10:49:25 観察者】
かなり気温が上昇してきているのに、感染症例が出たというのは驚きでした。
国立感染症研究所では 、日本国内で市販されているインフルエンザ迅速診断キットでH7N9鳥インフルエンザウイルスに反応できるかどうかの実験結果を報告していました。