H7N9鳥インフルエンザ  information
新潟大学国際保健学教室では、H7N9の様々な情報のrumor surveillanceを行っております。
ALL JAPANで備える」の信条の下、当ブログを通じて皆様に情報がご提供できればと思います

新型ヒト感染性A/H7N9鳥インフルエンザはヒトの上下気道上皮に感染する

American Journal of Pathologyに9月10日『Novel Avian-Origin Influenza A (H7N9) Virus Attaches to Epithelium in Both Upper and Lower Respiratory Tract of Humans』というタイトルで論文が発表されました。

発表したのは、オランダのエラスムス大学の研究チームで、H7N9鳥インフルエンザウイルスがヒトの上下呼吸道に感染する能力があることを証明しました。

以下、それについての記事です。

 

10日、American Journal of PathologyでH7N9鳥インフルエンザウイルスが上下呼吸道に同時に感染する能力があることを証明した研究が発表された。この感染様式は鳥インフルエンザの中では最初に発見されたこととなる。H7N9ウイルスはヒトの間で有効な伝播能力を有し、重症肺炎とパンデミックを引き起こすとしている。

 

通常の状況下では、H1N1等のインフルエンザはヒトの鼻・咽等の上呼吸道の部位に感染し、患者は唾液と鼻水に大量のウイルスを含んでいる。これがウイルスの伝播性を比較的強くしている。また、H5N1等の鳥インフルエンザウイルスは感染後、比較的深い細気管支及び肺胞等の下気道に感染し、重症肺炎を引き起こすため、病原性が比較的に高くなる。

 

オランダのエラスムス大学の研究員は最初に報道された2種のH7N9ウイルス株を用いてH3N2とH1N1、及び鳥インフルエンザのH5N1とH7N7と比較して分析した。

結果から、その他の鳥インフルエンザとH7N9は同じように下気道への感染が上気道への感染より容易であったが、他の鳥インフルエンザと違って下気道中の粘膜上皮細胞への感染が最も多く、これがH7N9ウイルスをより高病原性へとしていることが分かった。

 

これ以外にも、H7N9ウイルスはその他のウイルスと比較して付着する場所が鼻甲介、気管、気管支の線毛細胞に集中しやすく、ヒト-ヒト感染を引き起こす潜在性があることが分かった。

 

研究の責任者であるエラスムス大学のThijs Kuiken氏は、「H7N9ウイルスの付着感染モデルはこれまでの 鳥インフルエンザの中では確認されておらず、肺部の重症疾病を引き起こすのみならず、ヒト-ヒト感染も可能である」と明言している。

さらに彼が強調するのは、ウイルスの付着が宿主細胞中でコピーされるのが第一歩に過ぎず、ウイルスコピーのその他の過程が宿主の反応等であると考慮すると、H7N9ウイルスには十分パンデミックを引き起こす能力があるということである。

 

                   【2013-9-11 10:35  新中華ネット

 

 

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ヒト感染性H7N9鳥インフルエンザ 広東省の第1症例目 ICUから普通病棟へ

広州医科大学第一付属病院は、広東省の第1症例が病状が安定し、ICUから普通病棟へ移動したと発表した。

                        【2013-9-5 恵州日報

 

広東省の第1症例目の方の病状が安定したという報道でした。

現在までにヒト感染性H7N9鳥インフルエンザ134例の確定診断のうち45例が亡くなっており、致死率は34%となっております。

これから気温が下がってきますが、これにより再び新たな感染者が出るようなことになれば少し厄介なことになってくるかもしれません。

中国では、今回のアウトブレイクを受けて確定診断症例の患者に対し、特別に医療費を支援するという動きが見られます。

しかし、この報道の中でも医療費が支援できる範囲を超過してしまっていると報告があり、今後の課題となっています。

中国では日本の様に、国民皆保険といった制度が確立されておりませんので、今後新たな感染者が発症した時、受診や治療が遅れることが考えられます。

また、医療費目当てに偽物も出てくる可能性があるので政府関係もかなり困惑しているようです。

 

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ヒト感染性H7N9鳥インフルエンザウイルスのヒト感染についての論文

中国の科学者が『ヒト感染性H7N9鳥インフルエンザウイルスのレセプター結合の特性と構造の基礎(Structures and Receptor Binding of Hemagglutinins from Human-infecting H7N9 influenza virus )』というタイトルの論文を『Science』で発表しました。

以下それに関わる記事です。

 

2013年2月にアウトブレイクしたヒト感染性H7N9鳥インフルエンザは一種の新型リアソータントウイルスである。上海や安徽で最初に発見された。このウイルスは禽類には病原性が無いが、ヒトが感染すると重篤な呼吸器疾病を引き起こす。現在までで中国では134例が確定診断されており、北京・上海・江蘇・浙江など12か所の地域に分布しており、また45人が死亡している。高福(Gao Fu)が率いる中国科学院北京生命科学研究院、微生物研究所及び中国疾病予防コントロールセンターが連合し、早期に発見された2つの株、A/Anhui/1/2013とA/Shanghai/1/2013について調査し、ヒト感染性H7N9鳥インフルエンザのヒト感染へのメカニズムを探った。

 

安徽株は流行株であり、上海株は1例からのみ分離されていない。この2つのウイルス株はそれぞれ独特の遺伝子配列を持っている。研究員がELISAと表面プラズモン共鳴により、ウイルスレベルと蛋白質レベルで安徽株と上海株の受容体結合の特性を調べた結果、安徽株は禽類由来の受容体に結合するだけでなく、ヒト由来の受容体にも結合することができ、上海株は禽類由来の受容体に結合しやすい傾向にあることが分かった。安徽株はヒト由来の受容体に結合しやすいことから、ヒトの間で流行する可能性が十分にあることになる。

 

同時に、H5N1と異なるのは、Q226Lアミノ酸の突然変異が、H7N9ウイルスの表面にあるヘマグルチニンにヒト由来の受容体と結合しやすくさせる唯一のポイントではなく、それ以外のアミノ酸配列も重要な鍵となっていることも判明した。蛋白質X線結晶解析法により、2つのウイルス株のヘマグルチニン及びその突然変異体と受容体類似物の複合体を解析し、構造基礎の変化に受容体結合特性が生じていることを明らかにしている。

アウトブレイクしているヒト感染性H7N9鳥インフルエンザウイルスはヒト-ヒト感染能力は有しているかどうかについて科学者が研究しているが、今回の研究論文に関わった研究員たちはH7N9ウイルスは禽類の受容体と結合する能力が高く、ヒトの呼吸道上には禽類由来受容体が多く存在しており、粘液がウイルスの拡散を束縛してしまうため、H7N9ウイルスの有効な伝播能力を失わせてしまうだろうと予測している。

H7N9ウイルスの変異にはモニタリングが必要で、突然変異を少しでも起こせば、禽類由来の受容体との結合能力を失っているが、ヒト由来受容体との結合を有したままのものが発生し、パンデミックになる恐れがあるともしている。

                     【2013-9-6  北京生命科学院

 

 

今回の論文は購読していないとダウンロードできませんが、読んでみると非常に興味深い内容であると思います。

ヒトへの感染メカニズムを解明していますので、今後どのようなモニタリングをしていけばいいのかの指標になってくるのではないでしょうか。

9月に入ってからJournal of Virological MethodsJournal of clinical microbiologyでも論文が出ていました。

 

 

 

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ヒト感染性H7N9鳥インフルエンザワクチン 日本国内での開発に着手

Yahoo ニュースにヒト感染性H7N9鳥インフルエンザのワクチン開発に日本が前向きに検討しているというトピックが取り上げられていました。

 

<鳥インフル>H7N9型ワクチン開発に着手へ

毎日新聞 9月2日(月)10時39分配信

 

厚生労働省は2日、中国で感染が拡大した鳥インフルエンザウイルス(H7N9型)のワクチン開発に着手する方針を固めた。H7N9型が、人から人に容易に感染する新型インフルエンザへ変異することに備え、メーカーに開発を依頼する。試験的に少量を製造してもらい、年明けから動物を使った試験を実施。早ければ来年度から生産できるよう準備を進める。

 ワクチン製造に向け厚労省の国立感染症研究所は6月、英国からワクチン製造に用いるウイルスの株を輸入。7月には感染研もワクチン用の株を独自に開発した。

 厚労省は8月下旬、国内メーカーに2種類の株を無償で分与。どちらの株がワクチンに適しているか検討してもらった上で製造を始めてもらう。H7型はワクチンを接種しても免疫ができにくいとの報告もあり、動物試験に時間がかかる可能性もある。現在、ワクチンの大量生産や備蓄について計画を公表している国はない。

 H7N9型を巡っては、中国東部を中心に3月から感染者が増え、台湾を含め135人の感染者を確認。うち44人が死亡した。6月以降の感染者は2人だけで、日本で感染者は確認されていない。容易に人から人に感染した事例も見つかっていない。

                           【ヤフーニュース

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香港の研究チームが家禽市場がH7N9鳥インフルエンザウイルスの発生源と特定

香港大学と中国内地及びイギリスの研究員が、家禽市場(wet-market)がH7N9鳥インフルエンザウイルスの重要な発生源であると発表した。研究者たちによると、家禽市場と人との密接な接触を遮断することが、インフルエンザウイルスがヒトへと感染するのを防ぐ重要な手段であるということだ。

 

 

      f:id:h7n9flu_information:20130825184742j:plain

 

 

現在までで、中国全土でのヒト感染性H7N9鳥インフルエンザ確定診断症例は135例で、そのうち45人が死亡している。感染者の分布は12省市の42の地域で、台湾も1例含まれている。最近、1件の死亡例が8月11日に北京朝陽病院で報告されており、このケースはH7N9に感染したのをきっかけに、感染の加重と多臓器不全によっての死亡であった。

 

 

      f:id:h7n9flu_information:20130825190703j:plain

 

       ▲今年4月初旬での各家禽市場での検査の様子(中国)

        マスクはしているが、グローブはしていない。

 

【研究チームがH7N9鳥インフルエンザの感染経路を発見】

香港大学李嘉誠医学院公共衛生学院及び新興感染性疾病国家重点実験室教授の管軼、朱華晨博士が率いる研究チームと、汕頭大学医学院、アメリカのSt. Jude Children's Research Hospita及びイギリスの研究員チームの共同研究で、4月4日から18日までの香港、浙江省温州市、山東省日照市及び広東省深圳市の2300件の家禽及び渡り鳥の検体を調査した。

ウイルスゲノムを解析した結果、ウイルスは最初に渡り鳥から鴨へ感染し、ウイルスが鴨の体内でリアソータントを起こし、そこからH9N2ウイルスに感染していた鶏へ感染し、さらにウイルスのリアソータントを起こしたためヒト感染性H7N9ウイルスが発生してしまったとしている。研究結果についてのレポートは「Nature」で発表されている。(Nature 2013 doi:10.1038/nature12515 「The genesis and source of the H7N9 influenza viruses causing human infections in China」)

 

【温州の鶏からH7N7ウイルスが発見された 毒性が強いが感染力が低い】

H7N9ウイルスの感染経路と発生源を研究していると同時に、研究チームは温州の鶏サンプルから、伝播力は比較的弱いが毒性の強い新型H7N7インフルエンザウイルスを発見した。朱華晨によれば、H7N9とH7N7は同族同種の祖先をもち、ゲノム配列が似ており、「渡り鳥がウイルスを鴨へ感染させ、H7N7を原型とするインフルエンザウイルスのリアソータントを起こした。H7N7に感染した鴨とH9N2に感染した鶏が交差感染を起こし、新型のH7N7インフルエンザウイルスを形成した。H7N7は人間が感染したときの状況に似ているフェレットに感染し、肺炎などの呼吸器道感染疾病を引き起こす。これもヒトに感染する可能性がある。」と言っていた。

 

朱華晨は、家禽市場の鶏はこの2種類のインフルエンザウイルスがヒトに感染するための重要な発生源であり、ウイルスは主に口腔と呼吸道で繁殖し排出され、鶏間では鼻腔と糞便からウイルスが排泄されて感染を引き起こすと指摘している。

今の所、H7N9及びH7N7ウイルスはヒト-ヒト感染を起こす可能性は極めて限られているが、ウイルスを排除しない限り高い確率でヒト-ヒト感染を引き起こすとも言っている。管軼はこれに加えて「内地の華東地区では少なくとも2種のウイルスが同時に流行しており、このまま秋に突入するとヒト感染のケースが出現し続けパンデミックを引き起こす可能性もある」と警告している。

(以下略) 

                                   【観察者 2013-8-23 15:52:09

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ヒト感染性H7N9鳥インフルエンザは空気感染能力を有するか

広東省で初めてのヒト感染性H7N9鳥インフルエンザの確定診断症例が報告されてから約1週間が経とうとしています。この患者が現在どのような状況にあるのかといった具体的な情報は得られていません。

中国では一段落したと思われていたH7N9鳥インフルエンザが、再び感染症例を出したということでメディアでは毎日専門家へメディアが話を聞いて、その内容を掲載するといったことが続いています。

今年上半期でもっとも中国メディアで使われた言葉トップ10にも「H7N9禽流感」が選ばれていました。

 

家禽類との接触が感染経路であると5月頃に証明されましたが、H7N9鳥インフルエンザウイルス自体に空気感染能力があると香港大学新興伝染性疾病国家重点実験室主任の管軼へのインタビュー記事で掲載されていました。

4月9日の記事でもオランダのロン・フーシェ教授がH7N9鳥インフルエンザの遺伝子配列にH5N1インフルエンザ変異株と共通する2か所の遺伝子変異が認められると発言しており、この変異が鳥類から哺乳類へ感染しやすくし、呼吸器に付着しやすい特徴を持たせているとしていました。

 

2013-8-13  01:18  毎日経済新聞

 

 (省略)

 

香港大学新興伝染性疾病国家重点実験室主任の管軼によれば、ウイルスは高温環境の中で活動できる時間は非常に短いということである。よってヒトインフルエンザであろうが鳥インフルエンザであろうが、夏季における活動には制限を受けることになる。H7N9鳥インフルエンザアウトブレイクを受けて多くの家禽市場が封鎖されたが、封鎖後すぐにウイルスが減少したため最近営業を再開する市場が増加した。このため7月に北京で感染症例が1例出現し、8月には広東省で出現してしまったということらしい。

 

 (省略)

 

管軼は、上海や江蘇省で起こったのは限定的なヒト-ヒト感染の例であると言っている。この状況は以前のH5N1で起こったのと同じでH7N9で起こっていても何ら不思議が無いということである。「我々は実験室で(H7N9)に一定の空気伝播能力があるということを証明している(Science 12 July 2013:Vol. 341 no. 6142 pp. 183-186,DOI: 10.1126/science.1239844)。このウイルスはヒトへ伝播するが、ヒトからヒトへの伝播は比較的困難である。しかし、絶対安全とは言い切れない」ということだ。

 

彼はさらに、治療薬の方面では、オセルタミビルが重要な抗インフルエンザ薬であると付け加えている。

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中国国産の新抗インフルエンザ薬「ペラミビル」は鳥インフルエンザに有効か

ヒト感染性H7N9鳥インフルエンザアウトブレイクを受けて2013年4月初めに中国国内で認可された「ペラミビル」ですが、市場への投入が遅いことが話題にあがっていました。ライセンスを取った南新製薬と凱铂生物が生産に消極的であることと、ペラミビルの不良反応が問題となっているようです。以下関係する中国の『毎日経済新聞』からの抜粋です。

 

 

2013-8-14  09:07  毎日経済新聞

 8月10日に、広東省でヒト感染性H7N9鳥インフルエンザの確定診断症例が1例出たことを受けて、各方面で注目を集めている。現在までで広東省の最初のヒト感染性H7N9鳥インフルエンザウイルス感染症例については、患者の状態と地域が発表されており、鐘南山は人民に家禽類との接触を控えるように呼びかけている。もし広東省へ訪れてインフルエンザ様症状が出現したら2日以内に抗インフルエンザ薬を使用するようにともメディアを通じて提案している。

 今年4月に認可された新薬「ペラミビル」であるが、生産と市場への投入が遅れている。毎日経済新聞ではこの原因を、南新製薬と凱铂生物が生産に消極的であることと、ペラミビルの不良反応にあるのではないかと解釈している。

 

国産新薬の効果を考える

 8月10日、広東省で最初のヒト感染性H7N9鳥インフルエンザの確定診断症例が出た。これにより、鐘南山率いる専門チームが救命に当たっている。昨日(13日)広東省衛生庁の関係者が毎日経済新聞の記者に語ったのは、専門家チームが患者の救命に当たっているが、現在までに容体に明確な変化は無いが、各バイタルは好転をしてきているという内容であった。

 専門家チームがペラミビルを使用するかどうかについては具体的な内容は知らないとして明らかにされなかった。

 今年の初めにヒト感染性H7N9鳥インフルエンザアウトブレイクを受けて、国家食品薬品監督管理総合局は例外的に新抗インフルエンザ薬の認可を急いだ。4月5日には、ペラミビルの塩化ナトリウム注射液を認可し、湖南有色集団傘下の湖南有色凱铂生物薬業有限会社と広州南新製薬有限会社がライセンスを獲得した。(2013-5-2 report.9)

 各会社の製造能力から考えると、ペラミビルの生産には1日必要で、更に14日の品質検査(菌検査など)がかかり、全部で15日の工程となる。南新製薬には大きな輸液生産ラインを持っており、毎日3万瓶のペラミビルを生産することが可能であるとしている。

 原料、生産ライン、備蓄能力などの面から南新製薬のペラミビルの市場投入が期待されている。しかし毎日経済新聞の記者が南製薬の代理店を尋ねると、ペラミビルは「聞くだけで実物を見たこと人はまだいない」との返事が得られた。

 ある地域マネージャーは当新聞の記者に対して、工場には現物があるらしいが連絡が取れないと言った。「現在はまだ販売段階に至っておらず、在庫は存在するが具体的な市場投入については指示が無く販売状況については不明」とのことらしい。

 南新製薬と凱铂生物が生産に消極的であるのは、ペラミビルの不良反応の発生率と関係しているのではないかと、毎日経済新聞は解釈している。

 

 臨床研究では615例が曝露人群となり、内334例がペラミビルを使用したが、体調不良を訴えたのが41%で、分析の結果薬物と関係のある不良反応が26%であった(全体でみると約10%)。主な不良反応は下痢、悪心、嘔吐などで、重篤な不良反応や死亡例は見られなかった。

 

 南新製薬の社長の廖勇は毎日経済新聞の記者にたいして、今年7月頃に市場に上がったペラミビルはA型とB型インフルエンザ(シーズンで流行するもの)に有効であることが分かっているが、鳥インフルエンザに対してどこまで有効なのかは研究中であり、広東省疾病コントロールセンターから備蓄数は増加しておくようにとの指示はあったが、使用するかどうかについては不明瞭なまま保留されていると、現状について話した。

 廖勇は今後ペラミビルの市場参入については明言しなかった。

 

生産・市場投入が緩慢である

 薬品監視局はペラミビルに対して各基準項目に関して非常に厳しく評価しており、薬品の安全性と有効性が確保できたという前提であれば市場投入への時間と臨床での需要を満足に満たせるだろうとしている。

 今年4月に、廖勇はメディアと接触し、「すでに8年かけて研究開発と臨床試験を行っており、1億元の経費をペラミビルに費やして4月に認可を得たので、今年初めにペラミビルの初めての試作生産を行って、専門家の検査も通過した」と発言していた。

 当時、市場では抗鳥インフルエンザの国産薬に対して期待が高まっており、南新製薬に関係する責任者はメディアに対して、準備は万全であり5月には市場投入が可能であると発表していた。

 13日の午後、毎日経済新聞の記者が南新製薬の全国招商ホットラインと部分地区事務所に電話で問い合わせた。担当者がいうには各省によって販売状況が異なっているため、具体的な内容については各地区の事務所に問いあわせて欲しいということであった。広州地区のマネージャーがいうには、現在のペラミビルについては広州ではまだ販売が始まっていないということであった。長沙地区ではペラミビルは7月頃から市場で販売されており、もう少し時間をおけば在庫も確保できるとのことであった。

 凱铂生物事務所からは、ペラミビルの生産については「答えられない」と回答し、取材を拒否された。

 廖勇が記者に訴えたのは、ペラミビルはA型とB型インフルエンザについて広く使用できる薬であるのにも関わらず、鳥インフルエンザの専門でない者たちの評価により誤解されて販売が許されないという状況になることだけは避けたいということであった。「7月には市場に投入したかった。鳥インフルエンザと関係なく評価されるのは心外である」とも言っている。

 これ以外にも、ペラミビルの販売様式の非効率さについても述べていた。

 

 アモイ・香港ヒト感染性H7N9鳥インフルエンザ交流会議でも、専門家は未だにペラミビルを患者に対して使用するかどうかについて明確な発言をしていない。

 

 

 

ペラミビルの市場投入について、中国国内でかなり難色を示されているのが問題になっているようです。日本ではペラミビルは2010年から販売されており、インフルエンザ感染症の重症例などを中心に使用されています。

今回のような新型インフルエンザに対して、どれ程の効果が得られるのか、その臨床効果についてエビデンスが確立されてくると、使用頻度について変化が出てくると思います。

実際にペラミビルを使用しているのかについては詳しい情報を得ることができていません。

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広西省ではH7N9鳥インフルエンザのモニタリングを持続している

広東省でのヒト感染性H7N9鳥インフルエンザの確定診断症例を受けて、広西省衛生部門は継続してH7N9鳥インフルエンザについてのモニタリングとサーベイランスを行っていくと宣言した。

 

広西省では3月に中国国内で初めてヒト感染性H7N9鳥インフルエンザの確定診断症例が報告されてから絶えず監視作業を行ってきた。

 

監視作業を行っている範囲は発熱外来、普通外来、救急外来、入院について関係する医療従事者だけにのみならず、ヒト感染性H7N9鳥インフルエンザと疑われる症例(発熱、咳嗽・筋肉痛、全身不快感など)が出た家禽と接触歴のある者、鶏肉加工業者、屠殺業者、販売業者、輸送業者の従業員すべてに至っている。

 

今の所では、ヒト感染性H7N9鳥インフルエンザは散発例のみであり、過剰に反応する必要はないが、警戒を継続するのは意味のあることだと自治区衛生庁の責任者は話している。

                   【2013-8-13  9:39  広西ニュース

 

ヒト感染性H7N9鳥インフルエンザは今の所パンデミックを起こす可能性が低いといわれています。しかし、インフルエンザウイルスは変異が起こりやすいので油断はできません。また、ヒトの移動にあわせてウイルスが移動することも十分予測されるため、広西省の行っているような監視作業は必要になってきます。

秋、冬と季節が移り替わっていく際に、このH7N9鳥インフルエンザがどう移動していくのか、また感染症例の報告がどのようになっていくのか、ウイルス自体がどう変化していくのか非常に興味をひかれるところではあります。

 

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広東省恵州市のH7N9鳥インフルエンザ市場検査の結果

恵州市では今回のヒト感染性H7N9鳥インフルエンザの発症例を受けて、恵州市の全ての家禽市場、屠殺場、養殖場においてH7N9鳥インフルエンザウイルス検査を行った。

サンプルは4888件で、結果は全て陰性であった。

                  【2013-8-13  08:15  南方日報

 

恵州市では3段階でモニタリングを行った。

1)8月9日

恵州市は博羅横河鎮農業交易市場の69羽の鶏、8羽の鴨、1羽のアヒルと25件の環境サンプル全てについてH7N9ウイルス検査を行ったが、結果は全て陰性であった。

 

2)8月10日

横河鎮及び周辺の長寧、响水、湖鎮、竜門麻榨、永漢等の6つの町で養鶏所の775件のサンプルについてH7N9ウイルス検査を行ったが、結果は全て陰性であった。

 

3)8月11日

恵州市内の全ての家禽市場、家禽屠殺場についてH7N9ウイルス検査を行った。

全部で4888件のサンプルが集まったが、結果は陰性であった。

 

 

これ以外にも恵州市は博羅横河鎮農業交易市場の家禽交易の禁止や家禽取扱いについての登記を行わせるなどの措置を取っている。市場において家禽の殺処分、無毒化処理、消毒などを行うのが一番効果的であるとされているため、現在順に実施されている。

8月11日から13日にかけて、恵州市は博羅県の各家禽市場の生きた家禽を県外へ輸送することを禁止すると同時に、管轄内の家禽市場の1/3の営業を停止させており、この間に消毒や環境整備などの処置を行う。

恵州市の農牧部門と動物衛生監督機構は休日返上で、全市場のサーベイランスとモニタリングを行っている。

 

                    【2013-8-13 15:25 人民ネット

 

広東省では鶏肉料理が非常に好まれています。家庭の食卓ではおなじみとなっている食材であることから、鶏肉の加工製造・販売に制限(2013-8-12  大紀元)がかかってくると日常生活に大きく影響するこになります。人民の通常の生活をある程度保障することが中国政府機関では重要な任務となるので、うまくコントロールできないとデモなどを起こされて政府官僚の面子をつぶしてしまうことになり、中国人にとっては非常に大きな問題となります。【2013-8-13  15:14  中国新聞ネット

また規制されているとはいえ、世界でも有数のネット大国である中国では、製造加工業などが株式市場において経済的にも打撃を受けやすくなります。

鶏肉自体も値段が上昇している(500g当たり2~3元、ヒト感染性H7N9鳥インフルエンザ確定診断症例発生地では13元前後2013-8-13 16:49 人民ネット)ため、社会的不満も蓄積していきます。

 

中国では、ヒト感染性H7N9鳥インフルエンザについての周知(南方日報 2013-8-13 8:55)を継続して行い、人民の不満や不安を取り除くように働きかけているのが現状です。

 

鶏肉製品の売買・輸送を制限規制する一方で、香港では鶏肉製品を市内に輸送するのを禁じる必要性が無いという専門家の主張などを紹介しています。

                   【2013-8-13  9:10  中国新聞ネット

                   【2013-8-13  8:40  南方日報

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ヒト感染性H7N9鳥インフルエンザ135例目の状況

広東省恵州市での初めてのヒト感染性H7N9鳥インエンザ症例について、13日午後12時に広東省での最初の症例となった陳さんと接触のあった36人について現在のところ異常は無く、8月16日には医学的観察措置が解除されると報道があった。

また、陳さんの医療費用は医療保険や救済基金の援助が得られることも分かった。

 

現在、患者の陳さん(女性、51歳)は広州医科大学付属第一病院で治療を受けており、中国工程院院士の鐘南山医師が診断をしている。患者は今の所、呼吸器を使用しており、意識は明瞭で、各臓器の機能も正常であるが非常に危険な状態である。

 

患者の子供が8月9日の晩に発熱があったが、翌日の早朝には体温が正常に戻り、実験室検査でも正常であった。患者の子供を含む陳さんと接触のあった36名の接触者については医学的観察措置におかれているが、8月16日には解除される予定である。

 

恵州市政府は医療保険、医療救済制度、臨時生活救済制度の3つの制度を申請し、患者の治療費問題を解決するように働きかけている。恵州博羅県の責任者は8月12日の午後に患者の家族宅を訪問し、3万元(約40万円)の生活援助費を渡した。

 

恵州の主要な養鶏場の2034羽、その他の養鶏場392箇所の657万羽強とその他の家畜247万頭を検査したところ、現在までではH7N9鳥インフルエンザウイルスは検出されていない。

                  【2013-8-13 19:34 中国新聞ネット

                  【2013-8-13 6:38 羊城夕刊】  

                  【2013-8-12 2:58     金羊ネット】  

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